例年以上の暑さが続いた2024年8月。私は過去最高の月間走行距離712kmを走りました。普段は400km程度走ってる私が、いきなり712kmを走ったことによる身体や精神の変化を書いていきます。
月間700km以上走る市民ランナーは少ないかと思いますが、月間走行距離を増やすことにる変化は余り変わりはないと思いますので、何か考えるキッカケになっていただければ幸いです。
月間走行距離を増やして感じたメリット
①身体の回復力向上。
走行距離を増やすと毛細血管密度が増え酸素や栄養を行き渡らせる能力の向上したり、練習密度、頻度が上がったことによりネルギーを作り出すミトコンドリアが成長するなどがありますが、普段からある程度走っているランナーが一か月やそこらで上記の能力が大きく向上するわけではありません。
しかし私の身体は走行距離を増やし始めた一週間が経ち……3週間が経ち日にちを重ねるにつれてあきらかに身体の回復力の向上を感じていました。
その一番の理由は今まで殆どしてこなかった2部練習に身体が適応を始めたという事が大きいです。
次の練習まで20時間前後空いていた時間が、10時間早ければ5時間程度にまで短縮され、それまでに回復させようとする身体の反応によるものです。
②ピーキング、調整の幅が広がった。
9月1日に800mの記録会にエントリーしており、大事なレースではなかったので5日前から運動量を減らし調整を始めました。
レース前の一週間で100kmほど走りました。以前の自分ならば100kmは頑張って走っているくらいの距離です。その距離を調整期間で走れるのであれば、調整メニューのバリエーションが増えるので、これは大きなアドバンテージになります。
距離を多く走れるということは調整期間の体力の低下を抑えることができますし、疲労が抜けさえすればある程度の結果でまとめやすくなるため『調整大失敗』なんてことも減ることにも繋がります。
③当たり前のラインが引き上がる
8月以前は月間走行距離『600km』は頑張って距離を踏んだ500kmよりも100kmも多い。という認識でしたが、700kmという距離を踏んでみると、『600km』という距離は700kmより100kmも少ない距離という認識へ変わりました。この考え方ができるようになったことが、今回700km以上を走ったことによる一番のメリットだと感じています。
未知の領域だった走行距離は体験したことにより経験に変わり、自分の中の限界と思い込んでいたラインを引き上げて、その下の当たり前のラインも上げることにもなりました。
月間走行距離を増やして感じたデメリット
①故障のリスクもある。
走行距離を安全に伸ばすには前週の10%以内、先月の1.2倍程度と言われています。
そんなセオリーをガン無視で今回走った為、残念ながら代償がありました。8月の後半に右アキレス腱の痛み、右腰の痛みが出てきました。
走れないほどの痛みではなく、アキレス腱に関してはレース前の調整期間にストレッチなどをしたおかけで3日程度で痛みは無くなりました。
腰痛は中々厄介で、ジョグは問題ないのですが流し以上の強度でやるとズキッと嫌な痛みが走ります。
9月半ばには痛みがなくなりましたが、腰は故障一歩手前という感じだったので、良いランナーは急に月間300キロ増やすなどしないでください。
②ジョグの質(スピード)の低下。
ジョグの量、頻度が増えた為、質(スピード)は落ちました。回復する為に自然と5分を切るペースでのジョグが減り、それに伴ってEペースでのジョグの量も減りました。ただし疲労がある中走っている為、ジョグ質は落ちてもジョグの負荷は増えていると感じているので、スピードが落ちたからといって余りネガティブな印象は持ってないです。※一度に質と量を増やすと本当に故障しやすくなるので注意です!
③体重は余り減らない。
リカバリーを意識して普段よりも栄養を摂るよう心がけていましたが、それでもカロリーを補給しようと身体が求めてい甘いものを普段よりも食べたおかけで、体重の増減はほぼありませんでした。8月終わりで微減、9月終わりで1kgちょっと減って少し絞れたかな? というくらいです。
④時間がかかる。
市民ランナーが距離を踏もうとしたら時間が1番のネックになるかと思います。
そこで始めたのが通勤ランです。職場までの片道が11km程度あるので最低22kmは距離を稼げます。
車で片道20分程はかかるので、40分は時間を作れます。40分あればキロ5分なら8キロ稼げます。月間600kmを越えようとするなら通勤ランは必須になりそうです。それでも700kmを踏もうとすると良くも悪くも私生活において、ランニングの占める割合が極端に増えま時間の管理も以前よりも上手になったと感じています。
なぜ月間走行距離を増やしたのか?
そもそも何故? 2024年酷暑の夏に月間走行距離を700キロ以上を走ったのか?
市民ランナーとして走り始めて早7年以上が経ち、ボーナスタイムのようなどんな練習でもやればその分だけタイムが伸びる時期は遠の昔に終わっていました。
そこからタイムを伸ばす為にランニングに関しての勉強を始めインターバル、ペース走、レペ、距離走などのトレーニングをこなし、2023年1月に長らく目標だった5000m15分台を達成しました。
しかし15分台を達成後、1年半以上練習を継続しているにも関わらず5000mのタイムは3秒しか更新できていません。
ジョグ、インターバル、ペース走、レペな、距離走などの基本的なトレーニングは継続できており、それでもタイムが伸びないのであれば、何かを変える必要がありました。そう考えたときに夏に学生や実業団ランナーは合宿等で走って走って走り込む、ということは知っていたので自分もそれに習うことに。
それに自分のレベルならばジョグの量を増やすだけで、走力が上がるのではないかという予測がありました。
何故なら真摯に陸上に取り組む大学生や実業団ランナーで300kmや400km程度の月間走行距離で収まっている長距離選手を聞いたことがないからです。
聞いたことがないということは、月間600〜800km、もしくは800〜1000kmを走り続けるの理由が必ずある筈です。
それならばやってみる価値しかありません。やらなければ分からないこともたくさんあるでしょう。夏の自由研究、実験が始まりました。
8月は『基礎構築』『スタミナ強化』の期分けを実施。
最初から700kmを走ってみようと思っていたのではなく、2024年8月以前に一番走った月間走行距離は510km。月間500kmを超えたのは人生で2回。
なので距離を増やそうと思い至った当初は600kmを目標に走っていました。
しかし8月が半分過ぎた時点で350kmを超えており、「これ700kmいけるんじゃ? 」という欲が出て、目標を修正した結果、月間走行距離712kmを達成しました。
今回いきなり月間走行距離を増やすにあたってひとつ決めていたことがあります。
まともにポイント練習をこなせなくなったら距離を落とす、走行距離を稼ぐことを諦めてしっかり休養をすると決めていました。走力の向上の為には月間走行距離は大変重要なものだと思ってはいますがそれ以上にポイント練習は大切です。
例え月間1000kmを走れたとしても、それがジョグだけならば走力を向上させるのは難しいでしょう。ジョグのペースが基本Eペース、もしくはそれ以上スピードならまた話は変わってくるかと思いますが。
ジョギングの走り方
基本の練習ジョグについてです。
8月は暑くて熱くて日中はまともに走れたものじゃなかったので、基本練習は朝か夕方以降に行い、なるべく日陰を走り、周回コースにして水分補給が出来る環境にするなどして可能なかぎり熱中症、脱水のリスクを軽減しました。
初めは目標が600kmだった為、一部練習で毎日20kmを走っていこうと思ってましたが、これはキツイと感じ途中から朝練と夜練の2部練習を取り入れ、さらに片道11km以上の通勤と帰宅ランを実施して距離を踏みました。
ジョグのペースは大体5分〜5分40秒程度の普段の自分には比較的ゆっくりしたペースです。
このペースを決めて走ったという訳ではなく、次のポイント練習をこなす為に自然とこのペースに落ち着きました。
ただ仕事をしながら毎日コンディションを整えるのは難しく、トレーニングと夜勤の疲労、そこに暑さも相まってキロ6分ペースで走っても限界に感じて途中リタイアしたこともあります。
(流石にキロ6分ペースで限界と感じているときは意味ないわ! って感じでしたね。ささっと帰って寝ろ! という話です)
ただ普段の状態ならば毎日2 0km以上走っても遅いペースならば回復力が勝り疲労が抜けていき、ポイント練習に備えられました。
そのことから疲労の原因は
速さ>距離 だと気づきました。
ポイント練習を紹介
8月のポイント練習は以下の通りです。
※熱中症のリスクを避ける為、①と②ポイント練習は夕方〜夜に行いました。
①10キロのペース走を1回。Ave3分35秒。
夏でなければ基本10キロなら3分30秒以下のペースで行いますが、このときの設定は3分35秒〜3分40秒で行いました。
一応設定通りにこなせはしましたが、8月に入ってすぐに比較的疲労感の少ないときに行ったにも関わらず、5キロを過ぎた時点でキツ過ぎた為、このメニューは継続性がない、失敗する確率が高い、と感じて8月はこれ以降ペース走をしませんでした。
②400m×25本のインターバルを3回。
ペースは3分20秒。restは60秒ジョグ180m〜200m(ロードでの練習の為)一周1200mくらいのコースを使用。3回全て疾走ペース3分20秒をクリアしました。
途中水分補給と被り水用の水筒を準備して2〜3回飲んだり、被ったりしながら走りました。
400mの練習はとても良い練習でした。真夏に10キロのレースペース付近で疾走区間を10キロとれ、途中小休止をしてもトータル約15キロをAve3分53秒〜3分58秒のペースで走れたので、ペース走の代わりにもなると感じています。心肺機能の向上は勿論、閾値の改善にも役立ってる感覚があります。※ただしこの練習もかなりきついです。
③30キロ走を2回。設定はEペース。
1回目は早朝4時半から走り始め平均4分22秒。
2回目は奥日光の戦場ヶ原の辺りに行き準高地で走って4分26秒。長い距離をEペースで走り込みスタミナの育成と脚筋力を鍛えました。
下記は9月1日の800mの記録会に向けたプチポイント。
④200m×5本(30〜31秒)restその場で60秒 (ロード)
⑤600m1本を1分35秒で走りました。(ロード)
月間712kmを走り終えて
この記事を執筆しているときは9月の中旬ですが、走行距離を増やしてみて基礎体力の向上を感じてはいますが、これが今後レースに活きてくるかはまだ分かりません。
9月〜10月までは1500mに取り組もうと思っているので、思うような結果にならない可能性も十分あります。
しかし今回8月に700km以上走り込んだことに様々な気づきがあり、走って良かったと感じています。
これから3ヶ月、6ヶ月と600〜700km程度の月間走行距離を維持していこうという意欲があり、それによって身体がどうかわっていくか楽しみに思っています。
今後このブログではもっと詳しい練習メニューやレース結果なども書いていこうと思いますので、ランニング生活員の変化などを楽しんでいってください!